【五感】ラムネを色分け!色彩感覚×思考力と判断力【西川教授解説】
お盆の上で、ラムネを一生懸命並べています。ラムネを何個か食べた後、「ちょっとやってみようかな」という、子どもにとっては何気ない行為なのかもしれません。大人も、日常の中で目に入ったとしても、特別注目する出来事ではないはずです。でも、こうした行為の中に、学びに向かう力が存分に発揮されて、幼児期に必要な姿が育っているのです。
「色彩感覚」と「比較して考える力」の総合技
まず、子どもは美味しく食べていたラムネのセロファンに、色がついていることに気づいたのでしょう。その色を意識しながら色のかたまりをつくっているようです。よく見ると、同じ色でかためているのではなく、同じような色合いや、かためると互いが目立つ色合いなど、子どもなりのルールに則って並べていることがわかります。でもそのルールは、色彩の世界でいう、「色あい」「明るさ」「あざやかさ」の3つの要素の組み合わせによってしっかり行われているのですから驚きです。「赤」「黄」「緑」「青」…、「色あい」によって色彩のかたまりを意識しています。明るい、暗いなど「明るさ」もかたまりをつくる条件なのでしょうね。さらに、あざやかな色、くすんだ色など、「あざやかさ」の度合いも、子どもにとっては大切な要素です。このように、色彩学の原則を基本に、比較し考える力を存分に発揮しているのです。
幼児期の遊びは、遊ぶこと自体が目的です。知的能力を高める事が目的になるものは、もはや遊びとはいいません。子ども自らの興味・関心から出発する自発的な営みである遊びは、遊ぶこと自体が目的なのです。しかし、遊ぶことをくり返し行うその過程で、子どもは様々な力の発揮し栄養として蓄えていくのです。
遊びから「思考力」や「判断力」を身につける
ラムネを分ける遊びから、子どもは色彩のもつ世界観を経験し、その世界観の中で思考力や判断力を存分に発揮しているのです。だからといって、大人が無理矢理この作業を経験させることは、あまり意味がありません。子ども自らが向かっていくことで、発揮されるこうした姿を大切にしていかなければなりません。
連載でお送りいたしますので、次回もお楽しみに!
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