おかしなくらいおかし好きおかしなひとたち共に創り共に奏でた145日間【職員室編②】
共に創り共に奏でた145日間【職員室編②】
申込者数を横目で見ながら、各講座に向けての本格的な準備が始まった。ここでは、各講座の準備から当日までをおかサマメンバーに注目してレポート。
想像力、段取り力、牽引力、巻き込み力、行動力など、自分でも気づいていなかった力を発揮でき、仲間に賞賛されたことで自信が持てた一方で、焦燥感や無力感に苛まれることも。さまざまな想いや感情がごちゃ混ぜになりながらも、それでも最後は900人ものお客さんに笑顔で手を振って幕を下ろすことができた。そんな心の機微を少しでも感じてもらえたら……。
◎全身全霊絶叫祭&夜の役員会(8月1日/木)
集客は人海戦術〜思いは届く〜
8月1日(木)快晴、酷暑。オープニング講座にふさわしく、参加者も見学者も審査員もメンバーもとにかく熱かった「全身全霊絶叫祭」。おかサマ初の完全屋外開催ということもあり、会場が決定してすぐに、事前の下見から念入りに行った。どこから叫んだら声が届くか?、どこからだと気持ちよく叫べるか?など、実際に声を出してシミュレーションを重ねた。さらに昼間の時間帯ゆえ、暑さを考慮し、空調の効いた控え室の準備など、参加企業でもあり、会場提供にも賛同してもらった東山遊園のご担当者と打ち合わせを行った。
この講座に関しては、申込受付開始から最短期間での集客が大きな課題。開催まであと5日と迫る中、枠が空いている…。できれば枠をいっぱいにして、子どもから大人まで大いに叫んでほしい。見学者も増やして盛り上げたい。そこで開催前の週末、チラシを作って星が丘テラスの買い物客に配ることに。300枚のチラシを運営メンバー3人で、一人一人に声をかけ、お手渡し。「絶対に会場を満員にしたい!」その思いで渡すと、ほとんどの方が手に取ってくれた。「おもしろそうね。お菓子まきもあるのね」と嬉しい答えも。2時間ほどでチラシはすべてなくなり、開催2日前には枠がすべて埋まった。
当日は炎天下での運営。熱中症対策グッズも完備し、いざスタート!メンバーの1人がマイクを握り、子どもには目線を合わせて優しい口調で、大人にはさりげないツッコミを入れて会場を沸かせた。
驚いたのは、景品の豪華さだ。参加企業から、あれもこれもドーンと!と運び込まれた。みんなで盛り上げよう!喜んでもらおう!
愛がたっぷり詰まった協賛品は、子どもも大人も笑顔にした。誰よりもメンバーの喜びの方が大きかったかも。続くお菓子まきはさらに大盛り上がり。「お菓子まきというより、名古屋まきなんで」と宙を舞う味噌やおつまみを見ながら、幹事は満足そうな笑顔を見せた。
同会場で続いて行われた「夜の役員会」。こちらも初の屋外開催、初の6人という大人数でのトークイベント。当初は通常の「スナックかすがい」を踏襲し、登壇者を3人ずつに2回に分けて、という案も出たが、いやいや6人がワイワイと話す方が、今回の空間には向いていると6人が一度に集結。
さらに、よりオープンに、と初の参加費無料。事前登録で豆菓子プレゼンントという通常よりカジュアル仕様。しかし中身はいつも以上に濃厚だった。登壇者は5人の代表取締役と1人の常務取締役という前代未聞のまさに“役員会”。加えて開放感のある会場で、スナックのマスター、豆彦さん(春日井製菓おかしな実験室室長)の司会もリズミカルで、登壇者から本音が次々と飛び出す。
「俺はモテたいから社長になった!?」なる発言も。安定の!?シナリオのない予定不調和なトークのおもしろさに、おかサマメンバーたちも聴き入り、あっという間の2時間30分だった。
初日、2講座を大盛況で終え、打ち上げでビールを手にしたメンバーの、なんと晴れやかな表情だったことか!それにしても本当に暑い一日だった。
◎君も端材ヒーローになろう(8月4日/日)
裏ヒーローが続々登場
多くのものづくり企業の参加から実現可能となった子ども向け講座。各社からどうしても出てしまう端材(HAZAI)という名のお宝を集めることから始まった。この回の幹事役(側島製罐)がアイデアをまとめ、「製造・加工の工程で出る端材」に限定。テーマを「端材のアップサイクル」に設定した。
当日、アート系の大学生や専門学校の学生さんにも入ってもらいたい、との声がけに、学校と繋がりのあるメンバーが手を挙げる。1週間前の依頼にも関わらず、最終的には名古屋造形大学とトライデントの学生さんが9人参加してくれることになった。さらに開催3日前に、幹事からの「端材ヒーローショー」という寸劇をやりたい…との投げかけに、全員が快諾。若干強面の男性メンバーが、端材を利用した衣装を身につると、あら不思議!かっこいいヒーローに変身。多くの子どもたちから記念撮影を求められた。「子どもたちが接するのに緊張しそうな男性メンバーに、コミカルなキャラ付けをしたい」という幹事の狙いがドンピシャだった。
「漠然と作品を作るより、テーマを決めた方が子どもたちも作りやすい」というトライデントの先生からの助言をいただき、テーマは「動物園」に。当日は各テーブルにサポート役としてチームメンバーが参加。
チームメンバーには建築家やDIYが得意な人がいたため、子どもたちには難しい木材の切断など、工具を使っての作業を担当。器用に作業を進めていく陰のヒーローが続々と登場した。メンバーの知られざる多彩な能力が発揮され、メンバー同士でお互いを讃え合っていた。
繋がりはまだ続いた。9月およそ1カ月間にわたって、名古屋造形大学で特別に作品を展示してもらえることになったのだ。一つ一つの動物園の世界観を汲み取った配置や照明で、立派な美術展だった。
「子どもたちとあーしよう、こうしようと一緒に作業したことを思い出した。端材マンの衣装も展示すればよかった!」と展示会に足を運んだメンバーの感想から。
◎できるオトナの五感塾(8月7日/水)
距離感ゼロ!B to B企業との接点
五味(塩味(鹹味/かんみ)、辛味、酸味、甘味、苦味)を担当した5人のメンバーは、苦味を担当したサザコーヒー以外は、商品開発や広報担当など、通常一般消費者の方と直接関わることがない、ものづくり企業に所属している。こうした新たな接点が持てるのも、おかサマの大きな魅力の一つだろう。
各担当メンバーが、それぞれの“味”について自社製品を絡めてレクチャーというスタイルに決まると、「もっとファンになってもらっては?」と自社製品の協賛品をメンバーの1人が呼びかけると、あっという間に5社からの “お土産品詰め合わせセット” が完成。とにかく、すべてにおいてスピードが速い!
当日は、味噌汁の試飲やお酢の嗅ぎ比べなど、参加者全員のテーブルにスムーズにカップなどを配らなければならない。運営メンバーが足りないので入ってほしいと呼びかけると、7人のメンバーが「喜んで!」と手を挙げた。この団結力はすべての講座に共通していた。短時間でも運営に入ろうと業務をやりくりして駆けつける。ついこの前まではまったく知らない者同士だったなんて、信じられない。
いざ講座が始まると、初めは緊張した面持ちだった登壇メンバーも、少しずつ慣れてきた。次第に表情がやわらかくなり、口調も滑らかになっていく。参加者の真剣な眼差しと大きな頷きは、普段の仕事では感じられない達成感のようなものがあったのかもしれない。
登壇メンバーらも、一緒に五味を体験。センブリ茶の苦味でクッシャクシャの顔。それをおもしろがってスマホで撮影するメンバー。これってサークルのノリでしょ!
◎おとなの手紙教室(8月8日/木)
講座の価値と価格設定
さて、この講座はいくらに設定するのが妥当か。チームミーティングでチケットの価格設定で意見が割れた。「他の講座とのバランスを見て揃えた方がいいのでは?」「いや、それだけの価値を感じてもらえる人にだけ来てもらった方が参加者の満足度が上がる」。最終的には5,000円という、おかサマ最高価格で決定。“5,000円の価値とは?”というお題から、メンバーそれぞれがアイデアを出し合った。
新しいコクヨマーケティングのオフィス空間が、今回の講座の重要なポイントとなった。コクヨマーケティングの担当メンバーが、実際に着席してみて、手紙を書くことに集中できる空間かどうかを確認する。
アロマも焚きましょう。便箋やペンにもこだわりたい。手紙は宝物になるから、保管する缶を作ろう。大人の夜の時間といえばアルコール。スパークリングワインとスイーツがあるといいかも。次々とアイデアが具体的に出てくると、参加企業からの協賛品も決まっていく。加えて、当日、箔プリンターで作る便箋に書いてもらうことになった。プレミアム感がどんどんアップしていく。
「オフィスの入り口がわかりにくいかも」。参加者の立場に立った段取り力が発揮される。誰が頼んだわけでもなく、当日には立派な案内板が完成していた。一歩も二歩も先のことを考えて、できることをさりげなく軽やかにやり遂げてしまう。これぞおかサマメンバーなのだ、とあらためて痛感する。
いざ講座が始まれば、参加者たちのペアワークの会話が弾み、一番ホッとしたのは、何を隠そう担当した私だった。「いい時間だったね」「参加者の方の満足したお顔が嬉しかった」。メンバーからの感想を聞き、会社勤務をしていない私にとって、メンバー全員がフラットな関係で、チーム全体で一つの目標を達成する。今までにない充実感を味わった一夜だった。
◎おかしなこども体験フェスティバル(8月17日/土)
会社を超えた愛に溢れる仲間たち
8つの別々のイベントをほぼ同時進行で進めていくという、新しいスタイルとなったこのフェスティバル。担当企業ごとにメンバーが社内で念入りに内容を検討し、必要なモノの準備も万全に行った。ポイポイバトラーに関しては、何人で行うか、スペースはどれくらい必要かなどを含めて、実際に行う運動場でのリハーサルも決行。
午前と午後の2回に分けたこともあり、総勢100名の子どもたちに満足して楽しんでもらうためにも、多くのスタッフが必要だった。しかしやはり…、呼びかけると難なく解決。普段から春日井製菓と交流のある愛知学院大学の学生さんが「面白そう!」と運営チームに入ってくれることになり、万全の体制が整った。必要なモノの受け渡しや保管場所などの確認もぬかりない。おかサマも半分も過ぎると、これまでの経験からメンバーの段取り力は格段にアップしていた。
当日、一斉に子どもたちが会場に入り、それぞれ目的のコーナーへ向かう。以前の講座でブラザーの箔プリントには時間がかかることがわかっていたため、増員、プリンターの増台体制で臨み、順調な滑り出し。
一方で、マドラスの革小物コーナーに行列ができ始めた。ハトメ打ちは担当メンバーしか作業ができないからだ。待ち時間がどんどん長くなると、他のメンバーたちも気に掛かる。手伝いに入りたいが何ができるのかわからないまま、午前中が終了した。
午後からは、マドラスのメンバー全員にハトメ打ちの作業に専念してもらい、隣のブラザーチームが、サポートに入った。誰かに指名されるわけでもなく、おそらく使ったことのない道具を手に、ブラザーのメンバーが子どもたちの作業を手伝い、見守る。懸命にハトメ打ちをするメンバーのため、参加者の待ち時間を少しでもなくして楽しんでもらうため。自社とか他社とかいう感覚はない。おかサマメンバーが一つになり、手を差しのべる。どのメンバーも参加した子どもたちに対して、さらにメンバー同士で惜しみなく愛を注ぎ合う。本当の仲間ってこうやって増えていく。そう思う。
→職員室編③へつづく
ライター:ましもさとこ
一日一餡を公言するアンコ好きライター。
甘いも、しょっぱいも、熱いも、冷たいも…どんなお菓子も人間もなんでもござれ!
2児の母でもあり、自宅にはお菓子専用ストッカーを設置。
通称「グミ也」と呼ばれるグミ好きの次男のために箱買いしている「つぶグミ」(特につぶグミプレミアムがお気に入り)が占拠している。