Kasugai春日井製菓株式会社

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おかしなひとたち

教室編① おかしなサマースクールin愛知

共に創り共に奏でた145日間【教室編①】


2024年8月1日(木)。気温39度という名古屋らしい酷暑の中、スタートを切った『おかしなサマースクール in 愛知 2024』。2回目を迎えた今年は29社78人が運営し、8月27日までに全12講座を開催(1講座は台風のため中止)。未就学児から大人まで900人の来場者を迎え、平均満足度9.1点(10点満点)という大盛況のうちに幕を下ろした。

業種も職種も社風も全部バラバラ。普通に仕事をしていたら、交わることはないであろう人たちが、手探り、相手探りで進めた夏季講座。それぞれの企業が持つモノや知恵を活かし、スタッフの個の魅力がグイグイ引き出された脚本を創り、本番ではスタッフ全員が、誰ひとりが欠けても叶えられない、見事なハーモニーを奏でた。そんな145日間を、参加者側(教室編)と運営側(職員室編)からレポートをお届けしましょう。

2023年の『おかサマ』から広がった新たな仲間の和・輪・話

2023年夏。「愛知をもっとおもしろくしよう!」という、春日井製菓「おかしな実験室」の声がけで集まった12社32人のメンバーが、真夏の夜空に華々しく「第1回おかしなサマースクール in 愛知」という名の花火を打ち上げた。8講座で全9回。いずれの講座もチケットは完売。講座によっては募集開始後3分で売り切れたものもあった。楽しみにしてくれているお客さんのためにと、スタッフは事前準備から当日のオペレーションまで、汗を拭いながらとにかく走り回った。
そして気づけばあっという間に夏が終わっていた。本当にあっという間だった。参加者の多くから、「楽しかった」「面白かった」「またやりたい」と喜びと感謝の言葉が次々と届いた。

通常の業務とのやりくりや、所属する部署メンバーとの調整、40度に迫る暑さに心身ともに疲れ切ったはずなのに、秋の気配を感じるようになる頃には、「あの子どもたちの笑顔、よかったよね」「もっとおもしろいことやりたいよね」「次はもっとたくさんの企業とコラボしたいよね」などと、口々に話す姿をあちこちで見かけた。

準備期間を含めて4カ月間。同じ目的に向かって駆け抜けた時間が、会社という枠を越えた絆を生み出していた。この『おかサマ』をきっかけに、まるで学生時代の友人のように名前で呼び合い、時にグラスを合わせて悩みを語り合うなど、新しい関係性がポコポコと自然湧出した。ついには企業間で新しいコラボ事業も誕生。企業もスタッフも“仲間”が一気に増えた。

「今年もおかサマやるってよ」

噂が広がり始めていた2024年の年明け。

「一緒にやりませんか?」
昨年運営側で参加した人たちが周りに声をかけ始めた。

「実は昨年、個人的に参加していて、一緒に何かやりたいと思っていたんですが…」
積極的にアプローチしてきた人たちを、両手を広げて歓迎した。

おかサマに関心を持っている人たちが、あちこちにいた。“おもしろそうなこと”は誰もが気になるのだ。

2024年は29社78人で船出

「いよいよキックオフ!」となった段階で、昨年のおよそ2.4倍、29社もの企業が手を挙げていた。実は、今回、初参加企業で運営スタッフの2割強の人が、昨年はイチ参加者だった。実際に参加して一緒にやりたい!と声を挙げ、自社を巻き込む。これこそがおかサマがもっとも大事にしている、現場を見て、体感した自らの意志で自社を巻き込み、踏み出す大きな一歩だ。ここから仲間づくりが始まる。

講座当日に向けて、企画内容の検討から各講座の担当スタッフの自薦・推薦、脚本づくり、モノの準備、集客、リハーサル、そして当日のオペレーションまで、驚異的なスピードで次々と準備が進められていく。目の前に迫り来る難題を、他のチームからの惜しみないサポートを受け、またある時は奇跡までも引き寄せて、軽やかにクリアしていった。そして900人もの参加者の笑顔を引き出した。

そんな78人の仲間が尽力尽心で取り組んだ12講座について、まずは参加者が集う教室に潜入した「教室編」からご紹介。全講座を「子ども向け」「親子・家族向け」「大人向け」の3つのカテゴリーに分け、それぞれのリアルなレポートをお届けしたい。

絵日記に書きたいことがてんこ盛り。
パパとママはじっとガマン。。。

子ども向け3講座

おかサマの子ども向け講座のテーマは「子どもが主役」。ついあれこれ口や手をつい出したくなってしまうパパやママ。見たことも触ったこともない工具や、手を添えないと使ったことのない包丁で怪我をしたら…。気持ちはわかるけど、おかサマではママとパパの登場はご法度!スタッフに一任して、ただただ見守るのみ。思わず「あ!」という声が漏れてしまうママもいたけど、そんな声にはおかまないなしで、任された“仕事”に集中する子どもたち。ひと夏の大冒険で、子どもたちの成長はもちろん、パパやママたちの方が学んだことが多かったかも?

◎『端材ヒーローになろう!』(場所:ブラザー工業)

参加企業:革と靴の型(マドラス)、箔の切れ端(ブラザー工業)、飴の包装袋(春日井製菓)、キズのある缶(側島製罐)、木片(ダンチテクツ)、ブロックの耳(ユニソン)、キャンバスノート(コクヨマーケティング)、車の部品(セレンディップ・ホールディングス

「そもそも端材(ハザイ)って何?」。参加した各社のスタッフが、端材について説明を兼ねた「端材ヒーローショー」という名の寸劇を上演。端材が捨てられる前にみんなで救おう!と賑やかに始まった。全8社から集められた端材を使い、小中学生30人が学年ごとに6つのグループに分かれて、作品を制作。「テーマは、〇〇な〇〇で〇〇な動物園」。

 

「ウキウキですずしい動物園」「もこもこであたたかい動物園」「ちくちくでうるさい動物園」など、子どもたちの豊かな表現力と発想力にこちらも心が躍る。思い思いに端材コーナーから材料を持ってくると、何を作るか同じテーブルの仲間と相談。はじめましての友達同士で、少し恥ずかしそう。横目で友達が持ってくる端材をちらりと見て、同じようなものを持ってくる子も。

各テーブルにサポート役として入ってくれた現役の美術系の学生さんたちが、子どもたちの気持ちをうまく盛り立ててくれる。「滑り台で滑るペンギンを作りたい」「いいね、楽しそう!」。学生さんとの会話の中から自分が思い描く動物園の光景が次々と広がっているようだった。

今まで学校の図工の授業では触ったことがないような端材に恐る恐る触れ、じっくりと細部まで観察。これとこれはくっつくか?これは何を使えば半分に切れるのか?などなど、頭の中の???を学生さんやスタッフと一緒に一つずつ解決していくと、子どもたちがパッと笑顔に変わる。完成した動物園には、靴型のくじらが泳いでいたり、缶とブロックの像がニコニコ顔で歩いていたり、中には動物が遊ぶためのトンネルが登場するなど、6つのまったく景色が異なる動物園が完成した。

最後はグループごとに自分たちで作った動物園を紹介。この頃にはテーブルごとにすっかり友達になり、お互いに讃えあう姿も。制作時間中、「ブラザーミュージアム」で解説付きツアーに参加していたパパやママたちも、各グループの発表を真剣に聞きながら、大きな拍手を送っていた。

☆参加者の保護者からのメッセージ

・端材を切ったりくっつけたり即席の対応を頑張ってくださり、素晴らしいスタッフさんでした。
・初対面の人と一緒に何かをするのは大人でも緊張します。そんな体験を子どもにさせていただきありがとうございました。サポートがとても手厚く、安心してお任せできました。
・捨てられてしまうものを使って行うアートイベントはとても有意義だと思います。

◎『子ども体験フェスティバル』(場所:なごのキャンパス

参加企業:キラ箔☆倶楽部、パノラマプロジェクター(ブラザー工業)、革の魔法工房(マドラス)、キャンパスノートデコ(コクヨマーケティング)、ハッピーダンス(EXPG)、ポイポイバトラー(堀商店)、おかし釣り/輪なげ(春日井製菓株式会社)

「フェスのように子どもたちの楽しい思い出づくりを」と、バラエティに富んだ内容となった。水鉄砲を使ったポイポイバトラーのみ運動場で行う以外は、酷暑に配慮し、体育館で開催。午前と午後の2回、合計100人の子どもたちが歓声を上げた。

受付でスタンプラリーのカードを受け取り、参加した講座にシールを貼っていく。最後はお菓子釣りと輪投げのご褒美。体験するだけでなく、シールを集める楽しさにも子どもたちもワクワクは止まらない。

軽快な音楽に合わせたプロダンサーによるダンス講座は、保護者席で思わず立ち上がって踊り出すママも出現。ちょっぴり難しい振り付けで、踊れた!という子どもたちの満足感もくすぐられたようだった。

ステージ上では、180度のパノラマプロジェクターを使って、東山動物園の動物を大画面で紹介。その迫力に圧倒される子どもたちは食い入るように目を輝かせていた。工作コーナーでは、あらかじめ用意された犬や猫などの動物の形の革に穴をあけ、カップホルダーやコードホルダーなど自分だけのオリジナルグッズを作り、その隣では、お馴染みのキャンパスノートの表紙にペンや模様のテンプレートを使って、自由にお絵描き。ちょうどパリオリンピックが開催中だったからか、エッフェル塔のテンプレートが大人気!

もう一つの工作講座は、自分の好きな写真を、プリンターに通してスイッチをオン!キラキラのポストカードがプリンターからスルリと出てきた瞬間は、「おー」という感動の声が何度も聞こえてきた。

同時に運動場では、頭の上につけた金魚すくい用のポイを水鉄砲で撃ち抜くという「ポイポイバトラー」に大興奮。

慣れてくると、うまくかわしながら相手のポイを狙うという技を習得し、次々と撃ち抜いていく子も。ただし、戦いが終わる頃には勝者も敗者もビショビショ。申し訳なさそうにママの顔をチラリと見る子どもたちの表情が愛らしい。ご褒美は、ビニールプールに入ったお菓子釣りと、お菓子輪投げ。子どもたちは、お菓子を片手に縁日気分のまま「ありがとう!」とスタッフに手を振って、元気よく帰路に着いた。

☆参加者の保護者からのメッセージ
・毎年行きたい!と思うイベントでした。
・子どもと体験を通して、楽しみながら企業について、世の中について学べるいい機会だと思いました。
・出店している企業の別の一面を知る機会になりました。

◎畑と古民家で真夏の満腹参観日(場所:かすがいおかしな実験農場/古民家・神屋炉庵(かぎやろあん))

参加企業:春日井製菓株式会社、クリスピー・クリーム・ドーナツ・ジャパン寿がきや食品側島製罐ダンチテクツde la hatarakuナカモMizkan

前々日までは日照り続きで畑はカラカラ。野菜が悲鳴をあげているところへ、前日から大雨が降り続いた。恵の雨ではあるものの、畑での体験は難しいいかも…。

ところが当日の朝、講座が始まる直前に雨が上がり、風も涼やかで絶好の収穫日和に。雨の雫をまとった野菜は息を吹き返し、子どもたちを元気よく迎えてくれた。講座の前半は、完全無農薬・無化学肥料の「おかしな実験農場」で、夏野菜のなすやきゅうり、唐辛子、ほうれん草、モロヘイヤ、オクラなど、好きな野菜を好きなだけ採る。

「万願寺とうがらしは赤い方が熟していて甘いんだよ」「きゅうりはその場で食べてみて。それがホンモノのきゅうりの味だからね」「おくらの葉っぱはさわるとかゆくなるよ」と野菜博士でもある農場のオーナーが、子どもたちに説明をする。日照りのせいで、モロヘイヤの軸が赤くなっていたり、ピーマンや甘唐辛子の長さがスーパーで見るものより短かったりと、気候によって野菜がどんな状態になるのか、自分の目で確かめ、食べて知る。実体験ほど貴重な学びはない。

後半は、袋いっぱいに収穫した野菜を持参して、築170年の古民家へ。囲炉裏や釜戸はあるがエアコンはない。それでも家屋を抜ける風はどこか心地よい。「おばあちゃんの家に来たみたい」「お風呂はあるのかな?」「なんで2階がないの?」素直な子どもたちの第一印象と質問に、古民家のオーナーが丁寧に答える。

さて今日のランチは子どもたちが料理人。メニューは野菜のガンガン焼きと流しそうめんならぬ流しラーメン!

「薪割り」「流しラーメン用の竹水路づくり」「野菜の下準備」の3つのチームに分かれて食事の準備がスタート。時間になればローテーション。すべてを体験できるように時間割が組まれていた。その間、子どもたちのことが気になって仕方がない大人たちは、敢えて!?別室で「野菜教室」を受講。

ラーメンを茹でるために釜戸にくべる薪割りからやらなければならない。切った野菜の蒸し焼きも、炭火だから出来上がりまではスローテンポ。竹の節をきれいに削らなければラーメンは流れない。

いつもはお腹がすいたらさっと出てくるご飯も、当たり前のことではないと体験する。それでも空腹も忘れるほど、みんな真剣そのもの。「やったことのないことばかりで楽しかった!」「自分で採った野菜は美味しい」「ピーマンは嫌いなのにこれは好き!」と子どもたちの食欲は止まらない。

自分たちで働いて作るご飯は、何でも美味しいのだ。口出しせずにガマンを貫いていたパパやママも、子どもたちが作った料理を一緒に食べた。デザートはみんな大好きなドーナツ。しっかり働いた後の甘いドーナツは、いつもの何倍も美味しかったよね。

☆参加者の保護者からのメッセージ
・最初は知らない子ばかりだからと不安がっていましたが、最後にはお友達ができて笑顔になっていたのが良かったです。
・野菜の収穫から流しラーメンまで、子どもたちがすべてやったことに感動しました。
・母も旬の野菜について学ぶいい機会になりました。

教室編②へつづく

ライター:ましもさとこ

一日一餡を公言するアンコ好きライター。
甘いも、しょっぱいも、熱いも、冷たいも…どんなお菓子も人間もなんでもござれ!
2児の母でもあり、自宅にはお菓子専用ストッカーを設置。
通称「グミ也」と呼ばれるグミ好きの次男のために箱買いしている「つぶグミ」(特につぶグミプレミアムがお気に入り)が占拠している。